芸術系大学や総合大学の舞踊科などは、日本の大学と同様、入学試験があり、卒業までに数年かかります。各国によって制度は異なりますが、教員の資格などが取れることも。バレエのプロを志す場合、人気なのが著名なバレエ団や劇場付属のバレエスクール。入学資格やオーディションがありますので入学は簡単ではありませんが、プロのお膝元で学べるのは大きなメリットと言えます。将来、そのカンパニーや劇場所属のバレエダンサーになることを視野に入れて入学を目指す人も多くいます。私立校やダンスの専門学校では、バレエに限らず、ヒップホップやジャズ、コンテンポラリーなど様々なコースがあるのが特徴です。

百聞は一見にしかず。興味のある国、学校がなんとなくあったら、ぜひ講習会やマスタークラスに参加してみましょう。夏休み期間などに開催される講習会は、その学校やカンパニーの教育エッセンスがぎゅっと凝縮されています。その国の雰囲気を知る意味でも、その学校で納得のいくレッスンが受けられるかどうかを知る意味でも、大変大きな判断材料となります。たとえ数日間でも、長期ダンス留学前の下見としてオススメします。

イタリアやフランスは時間にルーズ、反対にドイツはルールにうるさく融通がきかない、オーストリアは意外とラテン的で、最後につじつまを合わせる感じ、そしてアメリカは個性と自己主張の国……。こんなお国柄を甘く見てはいませんか？長期留学では、その国の習慣や雰囲気が合わないと、現地生活はストレスの山。音楽の勉強に集中できなくなってしまいます。まず、下調べを入念にすることが大切ですが、実際、現地で短期間生活してみることがベスト。短期間のダンス講習会やグループレッスン／プライベートレッスンに参加したり、語学学校に通ったりして、現地の雰囲気を肌で感じておくことをオススメします。

学校に入学できる条件や、卒業までに必要な年数、卒業して取得できる資格など、教育制度は国や学校によって実にさまざま。例えばドイツでは、ドイツ語ができないと入学できない学校があったり、フランスでは、 日本の大学を卒業してからでは年齢制限で受験資格外に。また、イギリスの多くの学校では、入試時期の１年も前に願書受付が締め切られてしまい、驚かされることも。また、ビザの申請や渡航手続き、現地での住まい探しや練習室探しの方法なども、国によって微妙な違いがあるので注意が必要。入念な下調べと万全な準備が、長期の留学を成功させる秘訣といえるでしょう。